突然ですが、あなたはこれからどのようなオウンドメディアを作ろうと考えていますか?
ひとことで「オウンドメディア」と言っても、以下のような形態があります。
- ソーシャルメディアでバズを狙う形態
- 検索エンジンからアクセスを集める形態
- 自社のブランドを広く認知させる形態
ここで僕がもっともオススメしたいのが、検索経由のアクセスを集めるオウンドメディアです。
なぜなら、Googleの検索エンジンの仕組みを少し勉強すれば、検索エンジンから、アクセスを集める方法がわかるからです。
また、ソーシャルメディアでバズを狙う形態や、ブランド認知型の形態は難易度が高いため、オススメできません。
そこでこの記事では、検索エンジン経由でアクセスを集め、売り上げアップや認知度の向上を達成するためのオウンドメディアの作り方をお伝えしていきます。
オウンドメディアの立ち上げの一助になれば幸いです。
オウンドメディアとは、トリプルメディアのひとつ
さて、いきなりオウンドメディアの立ち上げ方をお伝えしたいところですが、先にやっておかなければならないことがあります。
それは、「オウンドメディア」という言葉の定義です。
あなたは「オウンドメディア」という言葉をどのように定義していますか?
一般的に、「オウンドメディア=検索上位を達成する」という意味で捉えられていますが、実際にはそうではありません。
オウンドメディアはトリプルメディアと呼ばれるくくりの中の、ひとつの形態のことを指します。
トリプルメディアとは、以下の3つのことです。
- オウンドメディア
- アーンドメディア
- ペイドメディア
それぞれの概要や用途は以下の通りです。
形態 | 概要 | 特徴 | 例 |
オウンドメディア | 自社が保有する独自のメディアを活用し、情報発信を行う。 見込み顧客が欲しがる情報を用意する。 | 自社のメディアで情報発信を行うので、情報伝達度をコントロールしやすい。 また、見込み顧客を顧客化するための「ファン化」を促進できる | ブログ、ホームページ、メールマガジン、パンフレット |
アーンドメディア | 一般的にFacebookやTwitter、Instagramなどのソーシャルメディアを指す。 情報の拡散に活用する | ソーシャルメディアを用いて情報を拡散するため、情報伝達度はソーシャルユーザーに依存する。 購入を促すというよりは、自社のサービスに共感してもらい、親密度を高めることを目的とする。 | Facebook、Twitter、Instagram、はてなブックマーク、YouTube |
ペイドメディア | 有料広告のことを指す。 不特定多数の消費者に対して、プッシュ型の情報発信を行う。 | 有料広告を活用して、情報伝達を行うため、費用さえかければ多くの消費者に情報を届けられる。 主に、自社のサービスに関心を持ってもらうために用いる。 | テレビCM、リスティング広告、バナー広告 |
見込み顧客をファンかできるため、オウンドメディアが注目されている
では、企業や組織が運営するメディア形式の中でも、特にオウンドメディアが注目されているのはなぜでしょうか?
その理由は「コンテンツマーケティング」という手法が流行り出したことが理由として挙げられます。
コンテンツマーケティングを行うにあたって、必要なのが、情報を見込み顧客に届けるメディアです。
前節でもお伝えしたように、オウンドメディアは自社のメディアを使って、情報を見込み顧客に届け「ファン化」することができるため、コンテンツマーケティングと非常に相性が良いのです。
オウンドメディアの3つの型と事例
冒頭でもお伝えしましたが、インターネット上で運営するオウンドメディアには3つの形態があります。
以下の表では、それぞれの特徴と事例を挙げています。
特徴 | 事例 | |
検索経由型 | 検索エンジン経由でメディアにアクセスを集める。 ブログ記事を通して、見込み顧客が欲しがっている情報を先回りして発信していく。 すでに何らかの悩みや問題を抱えているユーザーを集めることができるため、直接的な利益につながりやすい。 | |
バズ型 | 感動やおもしろ、共感、納得系などの思わずソーシャルメディアでシェアしたくなるコンテンツを通して、認知度を高めていく。 爆発的なアクセスをサイトに集めることができるが、それが直接的に利益につながらない。 主に被リンクの獲得などの目的で行う。 | |
ブランド認知型 | すでにある程度のブランドが確立した企業が、さらにユーザー層を広げるための形態。 |
ブランド認知型やバズ型のオウンドメディアでは、すでに確立されたブランドやバズが起こりやすいコンテンツを作る必要があります。
0からオウンドメディアを立ち上げようという組織や企業にとっては、とっつきにくい形態でもあります。
一方で、検索エンジン経由のオウンドメディアは、検索エンジンの仕組みや見込み顧客について、ある程度の理解があれば、すぐに成果を出すことができます。
そのため、インターネットに縁のなかった企業や組織ほど、検索エンジン経由のオウンドメディアを初めて欲しいのです。
次章からは、実際に検索エンジン経由のアクセスを集めるオウンドメディアの作り方をお伝えします。
オウンドメディア運営の戦略設計方法
これからオウンドメディアを作る場合、あなたなら何から始めますか?
最初にやるべきことは、「戦略を設計する」ということです。
戦略設計の手順は以下の通りです。
- ゴールの設定
- ターゲットの設定
- サイトのコンセプトの決定
- 編集体制を整える
この章では、オウンドメディアを作るために、まずやっておきたい戦略設計の方法についてお伝えします。
1.メディアのゴールを設定する
戦略設計ひとつめのステップは「ゴールの設定」です。
どんな取り組みでもそうですが、ゴールがなければ、終わりのないマラソンを永遠に続けることと同じです。
オウンドメディアも同じく、何のためにオウンドメディアを立ち上げるのかを決める必要があります。
そうすることで、検証や改善を行いやすくします。
一般的に、オウンドメディアのゴールの例として以下のようなものが挙げられます。
- メールマガジンの登録者を獲得する
- サービスの資料請求の申し込みを増やす
- 会社やサービスの知名度を高める
- 広告収入を得る
まずは、あなたも同じようにメディアのゴールを決めてみてください。
2.ターゲットを設定する
次にターゲットの設定を行いましょう。
ターゲットのことを「ペルソナ(たった一人の理想の顧客像)」と言います。
以下は、ペルソナの事例です。
名前 | 一ノ瀬毅さん |
性別 | 男性 |
年齢 | 33歳 |
職業・役職 | 福岡県◯◯市の木工家具の会社のWEB担当 |
家族構成 | 3人家族(奥様と男の子がひとり) |
所得 | 400万円 |
住所 | 福岡県〇〇市 |
趣味 | 休日に息子と遊ぶこと、家族で出かけること それ以外のことに時間を使う余裕がない |
ブログにたどり着いた経緯 | |
地方の一企業のWEB担当を任されている、一ノ瀬毅さん。 木工家具の業界は、北欧などの安価な家具が入ってきたことに伴い、徐々に売れ行きは下がってきている。 先日も、近所の会社が潰れてしまったところだ。 一ノ瀬さんの勤める企業は地域内でもいち早く通販事業に乗り出したため、いくらか維持しつつある。ただし、楽天などの大手のドメインの中で通販をしている以上、常にリスクが付きまとっている。正直、業界の先行きが不安だ。 そんな中、広告費をできるだけかけずに、自社で売れる仕組みを作れはしないかと考えた。 過去にSNSを使った集客手法が全くうまくいかなかった経験から、検索エンジンを使った集客手法を何気なく調べてみた。すると、当サイト「0から始めるWordPress・マーケティング」に行き着いた。 |
ターゲットが決まることで、以下のことををイメージしやすくなります。
- どのような情報を欲しがっているのか
- 普段どのような理由で検索エンジンを使うのか
他にも、ペルソナのお金の価値観や思考の偏りなど、より鮮明に作り上げてみてください。
もしも、イメージしづらい場合は、既存の顧客から一人を選んでみましょう。
3.サイトのコンセプトを決定する
次にサイトのコンセプトです。
サイトのコンセプトを決めることで、情報発信に軸が生まれ、ブレがなくなります。
サイトのコンセプトの作り方として、もっとも簡単なのが、「誰に対して、どんなことをしてくれるサイトなのか」を決めるやり方です。
以下は、サイトのコンセプト事例になります。
サイト名 | コンセプト |
スキンケア大学 | お肌の正しい知識を「医師」が解説するスキンケア情報サイト |
バーベキューゴー | 大切な人との「食べる喜び」の機会づくりをお手伝いします。 |
SINGLE HACK | 一人暮らしを刺激するウェブマガジン |
0から始めるWordPressマーケティング | 初心者がWordPressを使ったコンテンツマーケティングで飛び抜けた成果を出すための情報サイト |
サイトのコンセプトを設定する時のポイントは、「ニッチにしすぎない」ということです。
狭い市場に向けた情報発信を行うメディアでは、ネタが底をつきやすくなったり、大きなアクセスを集めるのが難しくなってしまいます。より、広義のコンセプトを設定してみてください。
4.編集体制を整える
オウンドメディア運営の戦略設計、最後のステップ、「編集体制の構築」です。
オウンドメディアを立ち上げ、運用するに当たって、最低でも以下のような業務が発生します。
オウンドメディアの立ち上げから運用までの業務 | ||
1.戦略設計の段階 | 2.コンテンツ公開の段階 | 3.分析・改善の段階 |
ユーザー・市場調査 | サイトの制作(コーディングなど含む) | アクセス解析ツールの分析 |
ターゲットの設定 | SEO対策 | KGI・KPI達成度に基づいた仮説立案 |
集客方法の決定 | ソーシャルメディアアカウントの開設 | コンテンツやサイトの改善案を作る |
サイトコンセプトの設定 | アクセス解析ツールの導入 | 改善案を検証する |
コンテンツの方針を決定 | コンテンツ制作のための素材集め | 検証結果に基づき次のアクションを行う |
KPI・KGIの設定 | ライターによる原稿の作成 | 継続的なコンテンツの公開 |
運用体制の構築 | 原稿をもとにCMSへアップロードと公開 | 継続的な仮説と検証 |
スケジューリング | ソーシャルメディアでの拡散 |
しかし、ひとつひとつの業務を全て、担当者がひとりで行なっていては、時間も労力も足りなくなってしまいます。
そこで、オウンドメディアを立ち上げ、運用するために、チームを作る必要があるのです。
ひとりの力ではどうすることもできませんが、チームの力を使うことで業務を効率化し、精度を向上させることができます。
以下の記事では、オウンドメディア立ち上げから、運用までを効率化するためのチームの作り方と、それぞれの役割を解説しています。ぜひご覧ください。
オウンドメディアサイトのキーワード選定とサイト制作
前の章では、オウンドメディアの運営面でコケないための、戦略設計についてお伝えしました。
一方で、「サイトでどのようなコンテンツを発信していくか」という細かいコンテンツ戦略も重要です。
この章では、オウンドメディアにおける、以下のポイントを解説します!
- 集客ページのキーワード選定
- 収益化ページのキーワード選定
- KGI、KPI設定
- サイトの立ち上げ
- 効果測定の実施
1.トップページやカテゴリーページ、記事ページのキーワード戦略を立てる
オウンドメディアに対して、検索エンジン経由でアクセスを集める場合、どのようなキーワードを意識し、サイトを作っていくかが重要になります。
なぜなら、あなたが設定したターゲットが普段、検索するようなキーワードで上位表示させなければ、見つけてもらうことができないからです。
そこで、あなたのターゲットに関する、以下の情報を知っておく必要があります。
- 普段どのようなキーワードで検索しているか
- トップページではどのようなキーワードで対策するか
- カテゴリーページにはどのようなキーワードを当てはめるか
- 記事はどんなキーワードを意識するのか
ちなみに、それぞれのページには、以下のようなキーワードを当てはめていきます。
トップページ
ビッグキーワード:「ダイエット」
カテゴリーページ
ミドルキーワード:「ダイエット おすすめ」
記事ページ
ロングテールキーワード:「ダイエット おすすめ 筋トレ」
ビッグキーワードやミドルキーワード、ロングテールキーワードの違いについて、詳しく知りたいという方は、以下の記事をお読みください。
2.ランディングページやマネタイズページのキーワード戦略を立てる
ランディングページやマネタイズページとは、サイト内における目標ページになります。
- アフィリエイトを行うのであれば、商品の販売サイトに誘導するページ
- メールマガジン登録者を増やすならば、メールアドレス登録ページ
- 資料請求を増やすなら、資料請求申し込みページ
このようなページは、ブログ記事とは異なり、「収益につながりやすいキーワード」を当てはめていく必要があります。
収益につながりやすいキーワードとは、「〜したい」という意味を持つキーワードのことです。
検索キーワード | したいこと | 求めているページ |
画像素材 ダウンロード | 無料の画像素材をダウンロードしたい | 画像素材のまとめサイトやポータルサイト |
もののけ姫 中古 | 中古の『もののけ姫』のDVDを買いたい | 中古品のDVD販売サイト |
福岡市 イタリアン | 福岡市内でイタリアンを食べたい | 福岡市のイタリアンのお店の情報が載っているまとめページ |
収益につながるキーワードの探し方について、詳しく知りたい方は、以下の記事をお読みください。
3.サイトのゴールに応じたKPIを設定する
キーワードの選定が完了したら、KGIやKPIの設定を行います。
KPIとは、目標達成のために業務が適切に行われているのかを測る指標のことです。
例えば、あなたのサイトにおけるゴールがメールマガジンの登録の場合、以下のようなKPIの設定が必要になります。
- 登録確認ページのユーザー数
- メールアドレス取得ページのユーザー数
- メールアドレス取得ページへの導線が貼られているページのユーザー数
- サイト全体のユーザー数
- 記事のクリック数、率
- 記事の順位
- 記事の表示回数
このようなKPIを設定し、数値を計測することで、「なぜ目標に到達できたのか」「なぜ目標に到達できなかったのか」などの仮説を立てることができます。
仮説を立てることで、次の改善案も生まれますし、サイトをより良いものに変化させることができます。
あなたのサイトの目的(KGI)に合わせた、KPIとはなんでしょうか?
ぜひ、サイトの目的に合ったKPIを設定してみてください。
以下の記事では、KPIの設定方法を解説しています。ぜひご覧ください。
4.WordPressなどのCMSでビジネスブログを立ち上げる
ここでようやく、ビジネスブログの立ち上げです。
ビジネスブログは、CMS(Contents Management System)と呼ばれる、 デジタルコンテンツ管理ソフトを用いて立ち上げます。
もっとも有名なものが、WordPressと呼ばれるオープンタイプのソフトウェアです。
複数人で管理がしやすく、記事の公開や編集も容易です。
また、検索結果で上位表示を期待できる、独自の作り込みがなされているため、検索エンジン経由でアクセスを集めるオウンドメディアには最適です。
以下の記事では、IT初心者でもWordPressを立ち上げ、初期設定を行うための方法を解説しています。
ぜひご覧ください。
サイトの構築や記事作りにて、「SEO(検索エンジン最適化)」を意識せねばなりません。
検索エンジン最適化については、以下の記事で詳しく解説しているので、お読みください。
5.コンテンツを公開し、効果測定を行う
ブログ記事を公開したら、そこで終わりではありません。
期間を設定して、前述したKPIを測定し続けなければなりません。
KPIの達成度合いに応じて、「よかった、悪かった」という評価を下し、以下のような改善をしていく必要があります。
- なぜよかったのか
- なぜ悪かったのか
- 問題点は何か
- 問題が引き起こる原因は何か
- 原因を潰すにはどのような解決策があるか
適切な流れでPDCAを回すことができれば、より良い方向にサイトもビジネスも進み出します。
いかがでしたか?
オウンドメディアは、「ブログ記事をいかに効率よく公開するか」という点に焦点が行きがちですが、もっと大事なのは戦略の部分です。
記事をどのようなチーム編成で、どのようなスケジュールで公開するのか、といったことがあらかじめ決まっていないと、途中でプロジェクトを中止せざるを得ません。
確実な戦略を立ててから、スタートするようにしましょう。